生活習慣病とは・・・年齢とともに避けては通れない通過点

糖尿病

糖尿病とは、血液中の糖分が高くなる病気です。糖尿病には遺伝性のものもありますが、過食、肥満、運動不足、ストレスなどの生活習慣が関係している場合が大多数といわれています。糖尿病は初期症状が乏しく、目立った症状が現れることなく進行することが多い病気です。
口渇（のどが渇く）、多飲（のどが渇くために水分を多く摂る）、多尿（尿の量が増える）、体重減少といった自覚症状が現れたころには、ある程度進行してしまっていることもあります。
さらに、病気が進むと糖尿病網膜症、糖尿病性腎症、糖尿病神経障害を発症して、末期には失明したり、透析治療が必要になったりすることもあります。また、心筋梗塞や脳梗塞など、命に関わる病気を引き起こす可能性も非常に高まります。そのため、早いうちから、血糖値をコントロールすることが大切なのです。糖尿病の診断は、症状の有無、ヘモグロビンA1cの値、血糖値を総合的にみて診断していきます。
糖尿病の予防、あるいは進行を遅らせるためには、食事や運動を見直すことが大切ですが、それは簡単なことではありません。現代の生活の中にはカロリーが溢れています。炭水化物が豊富にある社会に生きていて、糖尿病を予防することは容易なことではありません。なってからどうするか、という視点も重要かと思います。

高血圧症

高血圧症は心不全ステージAであることを認識する
血圧とは心臓から送り出された血液が動脈の内壁を押す力のことで、高血圧症は、正常範囲よりも高い血圧が続く病態をいいます。
まず、高血圧の定義をご覧ください。

高血圧の診断基準（日本高血圧学会）

75歳未満

• 収縮期血圧（最大血圧）が125mmHg以上
• 拡張期血圧（最小血圧）が75mmHg以上

75歳以上

• 収縮期血圧（最大血圧）が135mmHg以上
• 拡張期血圧（最小血圧）が65mmHg以上

40歳以上で、この基準を満たしてしまう方はかなりの数いらっしゃると思います。しかしながら、血圧を測定するということは滅多にないため、気が付かずに過ごしているのです。
血管内の圧力が高いということはどういうことでしょうか。血管と心臓はつながっています。ということは、腕で測る血圧は心臓の中の血圧でもあります。心臓の中の圧力が高いと、心臓は徐々に大きくなります。心臓の中の逆流防止弁は壊れていきます。それが、心不全であり、心臓弁膜症です。心臓に負担がかかれば、急性心筋梗塞にもなりやすくなります。心臓の中がパンパンな状態なので、心臓が苦しくなり不整脈も起こします。腎臓の血管の圧力が高くなれば、腎臓がどんどん壊れます。それがやがて慢性腎臓病になり、透析になってしまいます。
脳の血管の圧力が高くなればどうなるでしょう。脳出血や脳梗塞の原因となります。高血圧症は自覚症状に乏しく、なかなか気づくことができませんが、リスクの高い病気と考えます。
症状がなくても放置しておくことは禁物です。まずは、定期的かつ決まった時間に血圧を測定してご自身の血圧を管理しましょう。減塩とウォーキングなどの有酸素運動は高血圧治療には有効です。

脂質異常症

脂質異常症とは、「悪玉コレステロール」といわれるLDLコレステロールや血液中の中性脂肪（トリグリセライド）が必要以上に増えたり、あるいは「善玉コレステロール」であるHDLコレステロールが減ったりする病態です。血液中にLDLコレステロールが増えると、血管の内壁が傷つき沈着して血管が硬くなります。
これが動脈硬化です。血管が硬くなると高血圧の原因ともなり、ひいては心筋梗塞、脳梗塞、狭心症などの基礎になります。
中性脂肪（トリグリセライド）も過剰になると、血管の健康が損なわれます。中性脂肪が高い方は急性膵炎を起こしやすいことも知られています。
一方、HDLコレステロールは、色々な臓器で使いきれずに余ったコレステロールを回収し肝臓に戻す働きがあり、動脈硬化を抑える方向に作用します。
簡単にお伝えすると、動脈硬化の予防や改善にはLDLコレステロールと中性脂肪を減らし、「善玉」のHDLコレステロールを増やすことが重要になります。
脂質異常症は、それだけではとくに症状が現れることはありませんが、気がつかないうちに血管が傷つけられ、静かに動脈硬化が進行し、脳や心臓の疾患につながるおそれがあります。
脂質異常症の主な原因は、食生活（肥満・カロリー過多）や過度な飲酒、喫煙、運動不足などと言われてきましたが、現在では、家族性コレステロール血症という遺伝性のものが多いと考えられています。
治療は通常、食事療法と運動療法から始めるとされています。当院ではその点をまず丁寧に指導をさせていただいております。
しかし家族性のコレステロール血症は食事で改善しにくいのです。
特にご両親やご兄弟で心筋梗塞や狭心症、脳梗塞などの血管病の既往歴がある方には積極的に薬物療法をお勧めしなければいけない場合もございます。

高尿酸血症

高尿酸血症とは血液中の尿酸が7.0mg/dlを超える病態をいいます。痛風や腎結石、尿路結石の原因になるほか、肥満や高血圧、脂質異常症、糖尿病を複合的に合併することが多いです。
血液中の尿酸が高い状態が続くと、尿酸の結晶が関節にたまり炎症が起きてきます。これを痛風といい、足の親指の付け根などに生じやすいのが特徴です。
痛風発作は消炎鎮痛剤などの治療で、1週間～10日ほどで落ち着きますが、治療を中断してそのまま放置すると、関節炎による結節（コブのようなもの）ができたり、腎機能障害や尿路結石のリスクを高めたりします。
尿酸の結晶は、血清尿酸値が6.8mg/dl以上で形成されるといわれていますので、6.0mg/dl以下に保つことが治療目標となります。まずは原因となる生活習慣がないかを確認し、食生活を改善していくことから始めます。